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-よみもの-
第1回 入赏作品
鱈の煮付け
夫の好物は助惣鱈の煮付けである。结婚前の话だが、夫とドライブに行くことになり、せっせとお弁当を作っていると、
「これ、持ってく?」
と、母は小さな锅を差し出した。中に入っていたのはなんと鱈の煮付け。しかも昨晩の夕食の残りである。
「え~!やだ!お弁当、臭くなる。」
「いいねっかて。博喜さん、大好物だし。」
この母の一言でポテトサラダやプチトマト、出汁巻卵といったカラフルなお弁当メニューの中に、鶏のからあげにとって替わった黒い物体が镇座するはめになった。どう见ても不似合いで、私の『カワイイお弁当计画』は无残にも破壊された。何でこんなことになるんだ!自分だってお弁当作る时入れないでしょうが!心の中で母を恨んだ。
私の思いとは里腹に、お弁当を见せると夫は目を烂々と辉かせ、私が作ったおかずには目もくれず、真っ先に鱈へと箸を伸ばした。
しかも食べている途中で雾雨が降ってきて、
「ねぇ、もう车に戻ろうよ~。」
と促しても全く席を立つ気配はなく、一心不乱に鱈を食べている。
「ねぇ、そんなに美味しい?そんなに鱈、好きなの?」
「うん!」
満面の笑み。なんて素直。私は呆れた。
夫は鱼好きなので、食べるのが本当に上手い。最后は见事に骨だけになる。结婚前に実家に食事に来た时、母はよく感心していた。だから多少无谋でもお弁当に持たせたい、という気持ちも頷ける。
そういえば、私の祖父も鱈の煮付けが大好物だった。食べた后は热汤を注いで即席骨スープを作って饮み、小さなかけらまで食べていた。骨までしゃぶる姿を见て、子供心に
「何だかお行仪悪くてやだな~。」
と思ったが、今思えば最后まで美味しく戴く术を知っていたのだろう。鱈にしてみれば、髄まで食べてもらえば本望である。ゴミも最低限しか出ないし、ある意味究极の食育とエコなのかも知れない。
夫の好物にもかかわらず、私の得意料理ではない。鱈の煮付けは私の憧れの料理だ。义母が作る様子を见ていると実に手际が良い。水と酒、味醂、醤油、砂糖を锅に入れ、煮立ったところで味见。分量を闻いても、
「う~ん、鱈の大きさにもよるから适当!」
この适当の见极めが実に难しい。夫に言わせると义母の母、つまりおばあちゃんの煮付けはもっと豪快で、美味しかったらしい。
「こんなもんかなぁ~。」
なんて言いながら一升瓶から直接大锅にドボドボと调味料を注ぎ、味见すらしない。なのに浓すぎず薄すぎず、常に一定の味を保つ。まさに年季のなせる技。このおばあちゃんも食后は骨スープで缔めたそうだ。この鱈好きの血を脉々と受け継ぐ家族の口を私が満足させるのは、まだまだ先のことになりそうだ。
INFORMATION
「鱈の煮付け」
幸平 泰子さん(新潟県)
※年齢は応募时
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