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-よみもの-

第15回 一般の部(エッセー)优秀赏

夜の浜辺で

昨年の6月、わたしはひとり北陆から九州に向かった。ひとり旅は初めてじゃないが、车でこんな长距离を移动したのは初めてだった。目的地は屋久岛だった。

昨年わたしはうつ病になった。うつになる前、わたしは体を手术した。痛みはなくなったが、神経系の后遗症が残った。医者には考えすぎるのはよくないといわれたけど、自分の体のことは自分がよくわかっているものである。これまでの当たり前が当たり前でなくなったことの絶望。この絶望は永远なのだろうかとわたしはこの事実を受け入れられなかった。

体の不调から「もう无理かな」と仕事も辞め、実家に数年ぶりに戻った。これまでの自分では考えられないくらい无気力の毎日。仕事を探そうにも、ご饭をたべようと起き上がろうにも気力が涌かない。このとき初めてうつの心がわかった。

そして数か月たちふと、いつもなら起き上がらない体がおきた。もうわたしの心は限界だった。両亲にも言えない悩みは重くのしかかっていた。どうせこのままなら死ぬまでに行きたいところへいこう。いきたいところに行ってやる。もう无茶苦茶な思いで旅立った。北陆育ちからか、暑くてきれいな场所で温かい海が见たかった。

无事屋久岛に着き町を巡るとウミガメ観察会があったので参加した。わたしが参加した夜はたまたま波が高くしけていた。ウミガメに出会うには最悪のコンディションだった。心は「ここまで来たのにこんちくしょう。」の一言であった。

ウミガメの上陆を待っている间、私の隣に座っていた歳半ばのある夫妇がおにぎりとタッパーに詰めたおでんをくれた。「おなかすいたでしょ、どうぞ。」とひとり参加していたわたしにさり気なく渡してくれた。そのおにぎりは塩がよくきき、中にはとろっとした卵黄の醤油渍けが入っていた。まろやかな黄身と甘めの醤油が絶妙で、ニンニク风味がとても美味しかった。この夫妇は长野から来たらしく、おでんはネギダレにつけて食べてと言われた。このつけダレもショウガがきいていて、みじん切りネギの食感と甘辛さが合わさり无言でぺろっと平らげてしまった。ちょっと固めの卵と大根が母の作るおでんに似ていた。金もなく节约车中泊を送っていたわたしの胃袋は喜んだ。海のしけがどんどん强まり皆の絶望が高まる一方で、わたしはウミガメをみる前にそのおいしさとやさしさに体と心が大分満たされていた。

そして観察会はウミガメをみることなく终わった。今年に入って初めての珍事にスタッフ达は申し訳なさそうだった。

解散前、20人ほどの参加者で浜辺にゴロンと仰向けになって星をみた。その时隣の人の会话が闻こえた。「もしこれから上がってきたら、その子は顽张り屋さん」。もし今晩、上陆したならそのウミガメは顽张り屋さん。なぜか「あなたは顽张り屋さん。」と头の中で胜手に変换してはそう聴こえた。わたしはこの夜の味と言叶を忘れたくないと思い、しばらくはぼちぼち生きてくと决めた。いつか上陆できる日を愿って。

INFORMATION

第15回 一般の部(エッセー)优秀赏
「夜の浜辺で」
中村 いつる なかむら いつる さん(福井県?30歳)
※年齢は応募时

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