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-よみもの-

第12回 一般の部(エッセー)优秀赏

素麺ラブストーリー

とうとう、彼女がアパートに来る。旅先で知り合い、その后、东京に戻ってからも何度か外では会っていた。わがボロアパートにて、料理の腕をふるってくれるという。夜になり、なにも买えないまま直行する。コンビニなど、存在も知らない时代だ。
ラーメン用のタマネギが少々。それしかない。ほかには、素麺が何束か残っていた。彼女はそれを见つけると、なんとか料理可能だという。素麺なら、自分にだって简単にできる。めんつゆがあれば、料理のうちにも入らない。手早くできるなら、まあいいか。
トゥーナーはあるかと闻いてくる。「なに、トゥーナー?」「ツナ缶よ。」彼女は冲縄出身。トゥーナーは知らないが、サバ缶ならあった。彼女は、それでもいいと言う。サバにしろ、ツナにしろ、素麺とは确実にミスマッチと思われ、少々不安になってくる。
料理がうまいとは、彼女の自己申告。かなり怪しくなってきた。素麺がゆであがる。つゆが用意されていない。今度はフライパンを取り出した。おいおい、何が始まるんだ?
彼女は、ゆであがった素麺を炒め始めたのだ。タマネギだけでなく、サバ缶も一绪だ。なんてことを。完全に料理音痴だ。
小さなテーブルに、皿が二つ并べられた。覚悟を决めて、はい、いただきます。おっ。なんとなんと。美味。うん、これ、ほんとにうまいよ。家庭料理って感じで、いいねえ。
料理名を「ソーミンチャンプルー」と教えられた。冲縄では、きわめて一般的な家庭料理らしい。ソーミンは素麺、チャンプルーは混ぜて炒める料理のことだと説明された。
食事のうまさと料理の文化に感心してしまい、ヨコシマな思いを忘れてしまっている。日常レベルでの冲縄文化に敬意を払い、どんどん冲縄に惹かれていく。
あと一年で、彼女は冲縄に戻ると言いだした。実家は农家で、それを引き継ぐという。この先も付き合うなら、冲縄まで一绪に来てほしいと要求してきた。私は、少し酔っていたようだ。「うん、いいよ」と、简単に请け合った。住むとも言った。サトウキビの栽培って、魅力的な响きだ。

一年后、まだ付き合っていた。そして、冲縄に住み、定着してしまった。サトウキビの作业は予想と违い、过酷と言っても大袈裟ではないほど厳しかった。软弱な都会暮らしとは正反対の田舎の生活が始まった。
しかし、「惯れ」は强い。しばらくすれば、过酷ではなくなる。いつの间にか「普通」になってきた。畑作业が楽しみにまでなるのに、そのあと长くはかからなかった。継続は力なりと知る。田舎はいい。

あの彼女が、いまや四十年以上一绪に暮らす古女房になっている。素麺から、まさかまさかの展开だった。ソーミンチャンプルーは、いまも彼女がよく作る。トゥーナー入りだ。あのとき素麺が残っていて、絶妙の味だったからこそ、いまの私たちがあるのだと、しみじみ思うのだ。

INFORMATION

第12回 一般の部(エッセー)优秀赏
「素麺ラブストーリー」
森山 高史 もりやま たかし さん(沖縄県?72歳)
※年齢は応募时

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