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-よみもの-
第12回 一般の部(エッセー)优秀赏
しょっぱい塩むすび
叩いたら割れてしまいそうな程に张り詰めた紧张感。観客と选手の息が止まる。その瞬间、号砲が鸣った。割れんばかりの歓声の下、私は势いよく飞び出し鋭い踏み切りで一台目のハードルを飞び越える!はずだった。しまった、出遅れた!なんて気付いた时にはもう遅い。大舞台に紧张してガチガチになった私は、高校2年の北信越大会を目を塞ぎたくなるような最下位で终えた。
私は高校进学と同时に地元の兵库県を离れ、福井県の陆上强豪校でハードル走や走り幅跳び、800メートル走など计7种目の総合得点を竞う7种竞技に取り组んでいた。その日は、この大会で入赏すれば梦の全国大会出场というまさに大舞台だった。兵库県に住む母は手作りした私の昼食を持って、朝4时に家を出発し车をとばして応援に駆けつけてくれた。しかし结果は1种目目のハードル走から惨败。歯车の狂いは止まらず、2种目目の走り高跳びは自己ベストを大幅に下回る记録で出场者25人中下から3番目。これに追い讨ちをかけたのが苦手な砲丸投げだった。3种目を终えた私の総合得点は见事なまでにぶっちぎりの最下位。强豪校のユニフォームを着てひた走る最下位ほど惨めで耻ずかしいものはない。残り4种目を残すも逆転の希望がない絶望的な状况の中、すがるような気持ちで観客席にいる母に会いに行った。
久しぶりに会うや否や「もう嫌や、この后の种目は弃権する!」と泣きじゃくる私に、「まあまあそう言わんと、これ食べ。」と、母は私の大好物の手作り塩むすびを差し出してくれた。情けなさと自身の不甲斐なさを感じるがやはり空腹には胜てない。眩しいほどに活跃するチームメイトの姿を眺めながら、母の隣で鼻をすすり颜をぐちゃぐちゃにして食べた塩むすびは、涙を含んで强烈にしょっぱく、塩気の强すぎるお粥状态になっていた。
泣きたいのは朝4时に车を走らせ娘の惨败姿を见せられた自分も同じであるはずなのに、母は昼食を食べ终えまだまだ涙を流す私を「残り4种目も出来るやんか。一つでもベスト出せれば万々歳やん!」と励まし、笑颜で送り出してくれた。今考えると、母は同校の保护者の方々が集まる応援席から1人离れた场所で私を见守ってくれていた。活跃する选手达と最下位をひた走る娘。肩身の狭さを感じながら、母も一绪に戦ってくれていたのだろう。
既に陸上をやめ実家で暮らす大学3年の春、「おいしい记忆」としてなぜか真っ先に思い出すのは、高校3年時に出場できた全国大会のホテルの豪華な食事ではなく、涙で塩気の強すぎるお粥にしてしまったあの夏の日の塩むすびだ。のちに父から、母はあの塩むすびを夜中の3時から握ってくれていたと聞いた。私の苦い思い出と、しょっぱい涙と、それを包み込んでくれる母の愛情が詰まったあの塩むすびは、今も思い出すだけで鮮明に情景を呼び起こしてくれる私の大切な「おいしい记忆」である。
INFORMATION
「しょっぱい塩むすび」
坂井 裕香 さかい ひろか さん(兵庫県?20歳)
※年齢は応募时
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