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-よみもの-
第10回 一般の部(エッセー)优秀赏
サンキューおにぎり
叁条九丁目にあったからだろう。道央A市のその小さな店の暖帘には、「サンキューおにぎり」と书かれていた。初老の夫妇が切り盛りしており、早朝の店番は决まってご主人のほうだった。&濒诲辩耻辞;大将&谤诲辩耻辞;と呼びたくなる风格。その手が生み出すおにぎりはどれも美味しかったが、一番は何といってもツナだった。いわゆるツナマヨとは全く违う。何で味付けしているのだろうと、口の中でいくら分析してもわからなかった。わかるのは、黒コショウがいい仕事をしているということだけ。
「ツナ一つください。」「あいよっ。」包んでもらっている间に、ある日思い切って味付けの极意を寻ねてみた。大将はいたずらっぽい目で言った。「そりゃあおめえ、ヒ?ミ?ツよ」。
次に行くと、今度は向こうが闻いてきた。「おめえ、H高か。」「はい。」言った途端に直感した。あ、また生徒と见られてるな&丑别濒濒颈辫;。H高は制服がない。新卒で赴任した上に、スーツも化粧も嫌いだった私は、しょっちゅう生徒と间违われた。最初に担任を持った年の学级だよりの名前は「めだかの学校」。理由はもちろん「だぁれが生徒か先生か~」だ。何せ、4月は校门前で塾のビラを渡され、大雨の日にタクシーに乗れば生徒玄関で降ろされる。そんな时、「実は&丑别濒濒颈辫;」と言って相手を恐缩させるよりは、生徒になりすますのが常だった。だからこの时も、敢えて何も言わなかった。H高。(&丑别濒濒颈辫;に、勤めてます)と心の中で言い足して。嘘は、ついてない。
ところが、しばらく経つと今度はこう寻ねられた。「おめえ、何年生よ。」どうしよう、と思ったが、口が胜手に动いていた。「二年生。」(&丑别濒濒颈辫;の担任よ)、と急いで心の中で言い添える。微妙だが、多分嘘はついてない。
惊いたのはその翌年だ。「おめえ、どこの大学行くのよ。」学年をちゃんと覚えてくれている。どきんとしたが、留学の可能性を探っていた私は正直に答えた。「まだ、わかりません。」「そうか。ま、がんばれよ。」
叁年生の担任は忙しかった。放课后讲习、模试の监督、个人面谈。弁当を作る余裕がなく、おにぎりに頼る日が増えた。4时间目を终えて开ける纸包みの、何と有难かったこと。ツナは中心だけでなく、叁つの辺と叁つの角に及んでいた。ご饭を広げて具を敷き詰め、ご饭で覆って握っていたに违いない。ずしりと重く、最初の一口から最后の一口まで楽しめた。うん、これで夜まで顽张れる。
奇しくもその年、担任したのは叁年九组。学级だよりは「さんきゅうレター」と命名した。担任の未熟さを许してくれる、大切な41人への感谢。大将にあやかって、少しでもいい仕事がしたかった。この子たちを送り出したら、真の身分を白状しようか&丑别濒濒颈辫;。
しかし叁月、私は退职に骨折が重なって、白状どころかお礼も言えずに町を离れることになってしまった。1994年のことである。次にA市を访れた时、懐かしの暖帘はもうなかった。
大将が存命だったら伝えたい。通学、いや、通勤を支えてくれた温もりのお礼を。そしてもう一度寻ねたい、味のヒミツを。
INFORMATION
「サンキューおにぎり」
荒谷 陽子 あらたに ようこ さん(北海道?54歳)
※年齢は応募时
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