Readings
-よみもの-
第8回 一般の部(エッセー)优秀赏
お雑煮(第8回)
アメリカに来てから11回目のお正月を迎える顷、お雑煮がどうしても食べたくなった。近所に住んでいる日本人の友人から、お饼を顶けることになったからだ。大学留学するためにアメリカにやってきた顷は、お正月らしいものを食べなくても普通に过ごせていた。だが、今年は违った。日本の食文化への想いというものは、故郷を离れてからの年数が増せば増すほど、どんどん强くなっていってしまうようだ。
东京で育った私だが、父は九州の人なので、お雑煮は九州のものを食べて育った。がめ煮という煮物と、どんこからとった出汁を使うのは覚えていた。毎年食べていたのに、作り方をきちんと教えてもらったことがなかったので、父に作り方をメールでお愿いした。
さて、レシピはすぐに手に入ったが、私の住んでいるアイダホ州には日本の食品を売っているお店が中々ない。自宅から少し离れたところにあるアジアン食品店に、仕事帰りの主人に寄ってもらった。アメリカ人の夫から、写真が次々とメールで届く。ごほう、莲根、水煮された竹の子はこれで合っているのか、と私に确认するためだ。后は里芋。科学的に见たら多少の违いはあるのだろうが、タロ芋なら売っているというので、お愿いすることにした。どんこはスライスされた干し椎茸で代用。他の材料は近所のスーパーで购入し、日本で売っているものとは见た目は大分违うが、なんとか材料を揃えることができた。
子供たちが寝静まった大晦日、さっそく调理を始めた。里芋とごぼうや莲根は、日本にいたころはすでに下処理されたものをよく利用していたため、何から始めていいか分からない。インターネットで下ごしらえの方法を探し、根菜から出たぬめりによる手のかゆみとの戦いも终え、いよいよがめ煮を作り始める。鶏もも肉を油で炒めて、幸运にも家にあったカツオと昆布の合わせ出汁とお酒で野菜を煮込む。煮物を作るのなんて、何年ぶりだっただろう。次の朝にお雑煮にするために、ちょっと见た目は頼りのない干し椎茸の戻し汁でつゆも作っておいた。がめ煮とつゆを合わせてお饼を入れれば、お雑煮が完成する。
キッチンから広まる、がめ煮と出汁の良い香り。しんと静まり返り、少し冷えてきた家の中、がめ煮がふつふつ煮えていく音とお正月の香りに包まれる。もう何年もかいでいない香りなのに、実家のこたつで家族とお雑煮を食べる光景が反射的に脳里に浮かぶ。「やっぱり美味しいね」とお雑煮を食べるだけで、幸せを确认できたあの时间だ。
元旦の朝、子供たちが起きてくると、「何を作ったの?すごく良い香り!」と英語で言ってくれた。ゴロゴロ野菜を見て、おじけづいたものの、お雑煮のつゆの味見だけはしてくれた。そして驚きながら一言、「あ、おいしい!」これから毎年続く、私たちのおいしい记忆の始まりだ。
INFORMATION
「お雑煮」
野中 碧 のなか みどり さん(東京都?30歳)
※年齢は応募时
他の作品を読む
これも好きかも
